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賃貸管理の現場から

「家賃を下げるという決断」

今回は、入居募集する場合の家賃設定についてです。

新築物件の場合、どれぐらいの家賃で募集するか、は利回りを直接左右することになるため、大変重要なことです。

アパ・マンの企画段階では硬めに考えておき、いざ募集段階では少し高めの家賃で募集して満室にできれば最高の状態といえます。



例えば、こんな新築物件の事例を考えてみましょう。

設定家賃150000円の物件があります。企画段階では、130000円としていたのですが、募集段階では高い家賃からスタートです。

でも、高価格帯ということもあり、見学者はいるのですが、なかなか入居が決まりません。

お部屋が決まらない理由を探っていったところ、どうやら家賃設定が高すぎることが分ってきました。聞いてみると、入居者がすぐにきまっていく家賃というのがどうやら135000円ぐらい、というのです。

あるとき、135000円でなら申込むという入居希望者があらわれました。現状家賃より、15000円もの減額交渉です。

オーナーは、

「いくらなんでも15000円は下げられない。5000円ぐらいなら考えても・・・。」

と、この入居希望者をお断りすることにしました。

結局、最終的に入居者が決まったのは、1ヵ月後でした。しかも、家賃も下げて、140000円での入居となりました。


はじめの入居者の価格交渉を受け入れて、入居させた場合(入居が4月1日だったとします。)、次の年の3月末までには、

135000円×12ヶ月=1620000円

の家賃収入となります。

一方、140000万円の家賃にして、1ヵ月後に入居者をいれた場合、

140000円×11ヶ月=1540000円

となります。

ということは、はじめの1年では、135000円で入居を決めてあげた方が、結果的に80000円家賃が多くなる、ということになります。

2年間で考えるとき、5000円の差を12ヶ月ずつ埋めていったとしても、60000円です。

つまり、2年間で考えても、135000円で1ヶ月早く入居させておいた方が得だったということになります。


もちろん、どんな価格交渉でも受け入れた方がよい、というわけではありません。価格交渉が入った場合には、どれぐらいの期間でその差が取り戻せるのかを計算して、入居希望者と対応していく必要があると思います。

空室期間は、家賃を何もしないうちに失っていることと同じです。機会損失ともいいます。


家賃を下げることは勇気がいりますが、場合によっては、家賃を下げることも大切な選択肢の一つとして、考えておく必要があるのです。


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