退去連絡時にも慌てず解約抑制!?
先日ある物件の入居者から退去連絡がありました。
賃料が安い物件に引越すことに決めたので、退去手続きをしたい、という内容です。
さっそくオーナー様へご報告させていただいたところ、
・場合によっては家賃を下げるので、どれぐらい安い部屋に決めたかまずは聞いてみてほしい。
・更新料がネックになっているのであれば、更新料を無料にしてもよいので、交渉してほしい。
・最大で1万円程度は相談にのる。
というご要望をいただきましたので、さっそく入居者にヒアリングの電話をしました。
「賃料が安いお部屋に引越されるとお聞きしたのですが、このようなご時勢なのでオーナー様も家賃的にご相談にのっていただけるというお申出を受けています。
差し支えなければどれぐらいの賃料のお部屋を考えておられるかお聞きしてもよろしいでしょうか。
場合によっては、引越しして、仲介手数料や引越し代をかけるよりもおお得になるようなご提案ができるかもしれません。」
別の物件に引越するには、ざっと考えて、礼金・敷金・仲介手数料・引越代と家賃4か月分程度は余分にかかるはずです。
(もっとも、礼金敷金ゼロの物件もありますが、それでも2か月分ぐらいは費用発生するはずですよね。)
この転居による一時費用と家賃の値下げ分と比べてあげて、このまま住んでいた方が得、と感じてもらえれば退去がなくなる可能性もあるわけです。
ところが、聞いてみると、
「いや、それは無理だと思います。
実は、現在と同じ広さのお部屋で、家賃が月額3万円も安い部屋に移ろうと思うのですね。
さすがに、オーナー様にしても、毎月3万円も安くするというのは現実的ではないのではないでしょうか。
確かにこちらの物件は設備もキレイで気に入ってはいたのですが、このようなご時勢で、毎月の固定費を少しでもおさえたいと考えたのです、ゴメンナサイね。」
と言われ、ぐうの音も出ませんでした。
オーナー様に再度ご連絡したところ、
「それは仕方ないですよ、また新しい入居者を獲得できるよう、さっそく募集していきましょう!」
と前向きに捉えていただけました。(^^
でも、退去連絡がきたときには、このように少し突っ込んでヒアリングしてみると、もしかすると、退去をなくせるような提案ができるかもしれませんね。
以前生命保険会社に勤務していたのですが、そのときは、
「継続率」「解約率」「解約抑制率」
という数字が非常に重要視されていました。
生命保険料は長い期間支払っていくもの(生命保険会社にしてみれば、長い期間獲得できるもの)なので、長くかけてもらわないと生保会社は困るわけですね。
そのため、契約者から解約の連絡を受けると、担当外交員がすっ飛んでいき、乗り換えようとしている保険と現在加入している保険の違いを説明したり、あるときは感情に訴えて解約
を抑制するのです。
賃貸借契約についても、考え方は同じです。
退去連絡がきたときに何もしなければ賃貸借契約が解約になるだけ。
だとしたら、ダメもとで少し突っ込んだヒアリングをしてみるのもよい方法と思います。
★退去連絡がきても、慌てず落ち着いて引越しの理由を聞いてみよう。場合によっては家賃減額・更新料無料化の提案などで解約を防げる可能性もある!
今回は退去連絡時の対応例についてお話いたしました。何かの参考にしていただけましたら幸いです。
それでは次回「賃貸管理の現場から」をお楽しみに!