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賃貸管理の現場から

「もしも」のことがある前に!?

前回高齢者円滑入居賃貸住宅制度についてお話させて
いただきました。

高齢者からの入居を頭ごなしに否定してしまうので
はなく、選択肢の一つとして検討することができれば
非常に有効な空室対策になる、ということでしたね。


しかしながら、高円賃として登録し、仮に問い合わせが
あったとしても、リスクヘッジの方法をおさえておかな
いとこわくて自信をもって入居を受け入れることはでき
ないですよね。


実際にこのコラム読者さんからも、

「具体的にどんなリスク回避策があるの?」

といったご質問をいただきました。


そこで、今回は高齢者入居に関し、貸主側としてできる
ことを考えていきましょう!


■家賃支払いについては債務保証制度!

高齢者入居にあたっては、まずは、家賃支払いについてが
心配ですよね。

確かに、「年金収入があるから大丈夫」というのもいいで
すが、そうはいっても心配です。

さらに、最近は年金をもらえない「無年金」の高齢者も
多いです。

そこで、家賃滞納をフォローしてくれるのが、高齢者住宅財団
が提供している「債務保証制度」です。


これは、はじめに保証料を支払っておけば、滞納があった
場合には高齢者住宅財団がその滞納分を立て替えてくれる、
というものです。

要は民間の保証会社と同じ保証内容ですね。


違いはその価格。


一般的な滞納保証会社の保証料がだいたい家賃等の50%なの
に対し、債務保証制度の方は月額家賃の35%が保証料です。

おそらくこれは最安です。


「おいおい、また民業圧迫かよ!!」

という声も聞こえてきそうですが、でも、「高齢者」というだけ
で審査落ちしてしまう可能性も高い昨今、民間では受け入れられ
ない方の保証を引き受けてくれる、という意味で優れた制度で
すよね。

(※この制度が利用できる条件として、「高円賃」として
都道府県に登録しておく必要があります。)


債務保証制度は高齢者の他、障害者・子育て世帯・外国人そして
さらに、「解雇等により住居から退去を余儀なくされた世帯」が
利用できます。

「解雇等により住居から退去を余儀なくされた世帯」というのは、
具体的には、リストラなどで職を失い、アパートの大家さんや
不動産会社から、

「家賃が払えないのだったらでていってください。」

と宣告されてしまった方をいいます。


■事故を事前に察知!?

しかしながら、高齢者入居のリスクというのは、家賃支払いについて
だけではありません。

加齢や事故などによる、孤独死の危険性も大きなリスクです。

独居老人の孤独死。。。

よく新聞の片隅で記事になっていますよね。


そういった「事故」が起こってしまった場合の特殊清掃業者さんの
連絡先を抑えておくのは必須です。私も携帯電話番号に登録して
いて、いつでも連絡できるようにしています。


でも、できることならそんな事故は未然に防げるものなら防ぎたい
ところです。

そこで、民間で独居老人向けのサービスが安価で提供されているの
でご紹介します。
(各警備保障会社からは高品質の見守りサービスが提供されてい
ますが、価格もそれなりにしますので、ここでは省きます。)


1.みまも〜る(東京ガス)

http://home.tokyo-gas.co.jp/mima/index.html

入居者の居室に設置したガスメーターからガスの利用状況を東京ガス
に送信し、大家さん・管理会社にガス利用状況を通知してくれる
サービスです。

ガス利用がぱたっと止まっていれば、大家さん・管理会社が部屋に
かけつけることができるようになります。

利用料金は、月額たったの987円。

原則身内の方が申込するものですが、問い合わせてみると、大家さん
はもちろん、管理会社も利用できるというものでした。

2.みまもりほっとライン(ZOJIRUSHI)

http://www.mimamori.net/

「おお、こんなものまであるのか!?」と思ったサービスです。

指定のポットを設置しておき、そこから、お湯の使用状況(電源のオン、
給湯、保温中など)を1日2回、メールで通知してくれるというもの
です。

確かにポットを使う習慣がなければ利用できないですが、お年寄り
であればみなさんポットを利用するのではないでしょうか。(私の
偏見かもしれませんが。。。)

利用料金は月額3,150円。


■各市町村の独自サービス

その他、各市町村毎にで独自のサービスをおこなっている自治体
があります。

例えば、当社のある市川市では、「見守り電話」というサービス
が月数百円で利用できるとのことでした。

NTTと連携し、お年寄りがお部屋で緊急事態が生じたときは
「自分自身で」緊急信号を発信できる、というサービスです。

もっとも、これは、入居者自身が行う必要がありますので、その
意味では上記2つのサービスに比べれば事故を未然に防げる類
のものではありませんが、それでも、安心できるサービスかと
思いました。


■最後に社会科の勉強、「民生委員」制度はご存じですか?

事前に市川市・船橋市・習志野市の各市役所の福利厚生課
にヒアリングしていると、担当者が口をそろえて言うのが、

「民生委員」

という言葉。

何かと思って聞いてみると、実は民生委員法という法律が
あり、ボランティアで高齢者見守りをしてくれる「民生委員」
さんが各地域にいる、というではありませんか。

確かに、フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)でも、

「民生委員(みんせいいいん)は、民生委員法(昭和23年法律第198号)
に基づき、社会奉仕の精神を持って、常に住民の立場になって相談
に応じ、及び必要な援助を行い、社会福祉の増進に努めることを任務
として、市町村の区域に配置されている民間の奉仕者である」

と説明されていました。


例えば、習志野市だと、総勢700人もの民生委員さんがいらっしゃる
とのことです。

調べていると、スタッフのKさんが、

「それ、社会科の教科書に載ってますよね。」

と教えてくれました。

とってもメジャーな制度のようですね。

恥ずかしながら知りませんでした・・・(><)


確かに、訪問介護サービスや警備保証会社の高品質なサービスを
導入する方法もひとつです。

しかしながら、貸主サイドとしては、貸主の努力と知恵をちょっぴり
プラスすれば、まだまだ低コストで入居者さんに提供できるサービス
を作り上げることができるのではないかと感じました。


頭ごなしに高齢者だからという理由で門前払いしてしまう大家さんと
、何とかして高齢者を受け入れてあげようと努力する大家さん。


どちらが満室経営を維持できるかは明らかだと思います。

★高齢者だからという理由で門前払いするのではなく、「リスクを
できるだけ減らせば入居してもらえるのでは?」と前向きに考えて
みよう!

今回はも前回に続き高齢者入居についてお話させていただきました。

何かの参考にしていただけましたら幸いです。

それでは次回「賃貸管理の現場から」をお楽しみに!

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